東洋医学を中心に医学書の買取について解説
東洋医学やその他の世界の医学に関する書籍は、専門性が高く、独自の価値があります。
本記事では、東洋医学と西洋医学の違いや、主な東洋医学の種類、さらに世界各地で発展した他の伝統医学について解説し、それらの書籍を買取する際のポイントについても詳しく説明します。
東洋医学、西洋医学とは
東洋医学とは
東洋医学は、中国や日本、韓国などアジアの伝統的な医学体系を指します。
この医学体系は、自然治癒力を重視し、身体全体のバランスを整えることを目的としています。
東洋医学には、鍼灸、漢方薬、推拿(すいな)、気功などの多様な治療法が含まれます。陰陽説や五行説、気の概念が基本理論であり、病気の治療だけでなく予防も重要視されます。
西洋医学とは
学術書の買取価格は、以下のような要素によって決まります。
西洋医学は、科学的な実証に基づいて発展してきた医学体系です。解剖学や病理学に基づく診断と治療が特徴で、主に薬物療法、手術、放射線療法などが用いられます。
西洋医学は、具体的な症状や病因に対する直接的な治療を行うことが多く、急性疾患や緊急の医療処置において高い効果を発揮します。
東洋医学の主な種類
東洋医学には、以下のような主要な治療法があります。
鍼灸(しんきゅう)
鍼(はり)や灸(きゅう)を使い、経絡と呼ばれるエネルギーの通り道に刺激を与えて治療を行います。痛みの緩和や内臓機能の改善、全身のバランス調整に効果があります。
漢方薬
植物や鉱物、動物由来の生薬を組み合わせた処方薬を用います。個々の体質や症状に合わせて処方され、自然治癒力を高めることが目的です。
推拿(すいな)
中国伝統の手技療法で、マッサージや指圧、矯正を行い、筋肉や関節の調整をします。痛みの緩和や血行促進、エネルギーバランスの調整に用いられます。
気功(きこう)
呼吸法や動作、瞑想を組み合わせた自己治療法です。気の流れを整え、心身の健康を促進します。
その他の世界の医学
東洋医学の他にも、世界各地で発展してきた伝統医学があります。以下に主要なものを紹介します。
アーユルヴェーダ(Ayurveda)
インド発祥の伝統医学で、心身のバランスを重視します。ハーブ療法、オイルマッサージ、ヨガ、瞑想などが主な治療法です。
ユナニ医学(Unani Medicine)
ギリシャ、アラブ、中世イスラムの医学を基に発展した体系で、体液のバランスを整えることを重視します。ハーブ療法や食事療法が含まれます。
ホメオパシー(Homeopathy)
ドイツで誕生した療法で、症状に似た症状を引き起こす物質を極微量で用いることで自然治癒力を刺激します。
自然療法(Naturopathy)
自然の力を利用して健康を維持・回復することを目指す医学体系です。食事療法、ハーブ療法、運動療法、瞑想などが含まれます。
伝統チベット医学(Tibetan Medicine)
インド、中国、ペルシア、ギリシャの医学体系の影響を受けて発展し、心身のバランスを重視します。
先住民の伝統医学(Indigenous Traditional Medicine)
世界各地の先住民が独自に発展させた医学体系で、地域の自然環境に基づく療法が含まれます。
医学書の買取について
ここでは、主に東洋医学やその他の世界の医学の書籍の買取について解説します。
高く評価される書籍の特徴
鍼灸や漢方などの東洋医学、医学史、江戸期の医学書などは、ISBNコードがなくても高く評価される場合があります。専門分野
需要のある分野
専門分野によっても書籍の価値は異なります。以下の分野は特に需要が高いとされています。針灸、按摩、経絡、薬草、漢方などの治療法や陰陽説や五行説の理論
書籍の状態
保存状態
書籍の保存状態は買取価格に大きく影響します。以下の条件を満たす書籍は高く評価されます。- ・函やカバーがある。
- ・書籍に破れや汚れやシミやヤケがない。
- ・マーカーや書き込みがない
- ・個人や機関などの蔵書印がない。
- ・付属品CD-ROM、DVD-ROM、付図などが揃っている。
鍼灸・漢方・東洋医学に関して、買取対象になりうるもの
代表的な書名
- 近世漢方医学書集成
- 東洋医学善本叢書
- 近世漢方治験選集
- 醫心方
- 国宝半井家本医心方
- 鍼灸医学大系
- 臨床鍼灸古典全書
- 日本漢方腹珍叢書
- 臨床漢方病証学叢書
- 臨床漢方処方解説
- 臨床本草薬理学選集
- 中薬大辞典
- 難経古注集成
- 東洋医学講座
- 和漢薬百科図鑑
- 萬安方(全)
- 人蔘史
- 影宋本備急千金要方
- 心身統一原論
- 黄帝内経古注選集
- 黄帝内経要語集註
- 臨床実践 家伝・秘伝・民間薬叢書
- 傷寒金匱口訣選集
- 漢方医薬古典シリーズ
- 脈経
- 鍼灸医学諺解書集成
- 続・鍼灸医学諺解書集成
- 和刻漢籍医書集成
- 民間治療全集
- 必読・漢方医学余璧叢書
- 整骨・整形外科典籍大系
- 新註校訂国訳本草綱目
- など
代表的な全集
伊沢蘭軒全集伊沢蘭軒(いざわ らんけん、1777年 – 1829年)は、江戸時代後期の日本の蘭学者・医師です。目黒道琢(どうたく)・武田叔安(しゅくあん)らに師事し医学を学びました。福山藩の藩医としても活躍しました。
また、森鴎外による史伝『伊澤蘭軒』も存在し、彼について描かれています。
安西安周(あんざい やすちか、1890年 – 1969年)は、昭和時代の漢方医、医史学者です。
東京帝国大学医科大学卒を卒業し、昭和3年に漢方専門医を開業しました。のちに日大講師や日本医史学会理事などをつとめています。
著書には「日本儒医研究」「明治先哲医話」「漢方の真義と新食養法」「実験漢方新解」「漢方読本」などがあります。
代表的な出版社
オリエント出版針灸、経絡、薬草、漢方などの専門書を中心に刊行する出版社
東洋学術出版社中国伝統医学などの中医学関連の専門書を中心に刊行する出版社
名著出版歴史・民俗・宗教・古文書・漢方・療法などの専門書を中心に刊行する出版社
医道の日本社鍼灸、あん摩マッサージ指圧、柔道整復領域の専門書を中心に刊行する出版社
雄渾社エンタプライズ
東洋医学以外
需要がある分野
- ・精神療法、心理療法などの精神医学、心理学、法医学、解剖学、外科学、内科学、基礎医療学、遺伝医学、看護他。
- ・MRI、CTスキャンなどの最新技術に関する書籍。
- ・分子標的治療、免疫療法などの新しい治療法に関する書籍。
版と刊行年
- ・発行年が経過していない書籍は、高く評価されやすいです。
- ・改訂がされておらず、他に同様の内容の書籍がない場合、価値が高くなります。
最新版の価値
医学は日々進歩しており、常に新しい研究や治療法が登場します。したがって、分野や種類によっては最新版の医学書は高く評価されることがあります。
上記のような分野の場合は、ISBNコードが付いていて最新刊であるのが望ましいです。
代表的な出版社
以下のような出版社の書籍は高い評価を受けやすいです。
- 医学書院
- 中山書店
- 南江堂
- 医学図書出版
- 医歯薬出版などの医学系専門出版社から誠信書房
- 岩崎学術出版社
- 金剛出版
- みすず書房
- 日本評論社の心理学系専門出版社
代表的な全集
ヒポクラテス全集ヒポクラテス(Hippocrates、紀元前460年頃 – 紀元前370年頃)は、古代ギリシャの医師で、「医学の父」と称されています。
彼は、病気の原因を神や迷信ではなく、自然現象や人体の調和の乱れに求め、科学的・論理的な医療を確立しようとしました。
ヒポクラテスは、多くの医学的著作を残し、その中でも「ヒポクラテスの誓い」は、医師の倫理を規定した有名な宣誓文です。
現代でも、医師の倫理基準に影響を与えています。彼の思想は、自然治癒力の重視や体液説(人間の健康は4つの体液のバランスで保たれるという理論)に基づいており、西洋医学の基礎を築きました。
病気を科学的に捉える医療の先駆者として、後世に大きな影響を与えています。
森田正馬(もりた まさたけ、1874年 – 1938年)は、日本の精神科医であり、「森田療法」の創始者として知られています。
森田療法は、神経症(不安障害や強迫性障害など)の治療を目的とした心理療法で、患者が症状を「あるがまま」に受け入れ、行動を通して心の安定を取り戻すことを重視しています。
彼は神経症の原因を心の問題ではなく、生理的な反応や生活の不安にあると考え、患者が自らの症状を自然なものと受け入れることで、症状が軽減し、日常生活を取り戻せるとしました。
森田療法は、今日でも不安障害やうつ病の治療に応用されており、心理療法の一つとして広く知られています。
木村敏(きむら びん、1931年 – 2021年)は、日本の精神科医・精神病理学者で、特に「時間論的精神病理学」の提唱者として知られています。
彼は、精神疾患を時間や自己存在との関係から理解しようとする独自のアプローチを展開しました。
木村敏は、現象学的精神病理学の日本における第一人者とされ、フッサールやハイデガーといった哲学者の影響を受け、精神医学と哲学を融合させた独自の理論を展開しました。
彼の著作は精神医学のみならず、心理学や哲学の分野でも広く読まれています。
ジークムント・フロイト(1856年5月6日 – 1939年9月23日)は、オーストリアの心理学者、精神科医で、精神分析学の創始者として知られています。
晩年の著作では宗教から文化まで広い範囲の批評を行いました。
買取業者
専門業者の選び方
専門的な知識を持つ買取業者を選ぶことが重要です。以下の点を考慮して業者を選定しましょう。
- 専門的に取り扱っている古書店:その分野に精通している業者が望ましい。
- 査定する人がその分野に詳しい:専門知識を持つ査定者がいること。
その他のポイント
家庭向けの医学書や健康志向の一般書籍は、わかりやすい解説や図解、イラストが多く含まれるため、専門性が低く、買取価格が低くなる傾向があります。
まとめ
東洋医学やその他の世界の医学の書籍を売却する際は、版や刊行年、専門分野の需要、保存状態、出版社や著者の信頼性など、多くの要素が重要です。
これらのポイントを押さえて蔵書を売却しましょう。信頼できる古書店へ問い合わせることで適切な価格での買取が期待できます。
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